SSH事業について

平成27年度 SSH記念講演会

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平成27年10月29日(木)
演題『宇宙に生命を探す』

講師:海部 宣男 先生(元国立天文台台長)
ファシリテータ:杉山 直 先生(名古屋大学大学院理学研究科教授)

平成27年度の記念講演会は、わが国初の長野県野辺山に大型電波望遠鏡の設計から建設まで中心的な役割を果たし、また、ハワイにすばる望遠鏡の完成にも尽力された元国立天文台台長、海部宣男先生を講師に迎えて行われた。例年と同じく、第1部は講演会、第2部は杉山直先生と の対話を行った。

第1部の講演会では、まず地球が属する太陽系の中の生命探査の話から始まった。金星は灼熱の星で生命はとても存在できない環境にあることや、火星にはか つて海が存在していたこと、木星や土星の衛星には生命が存在してもいいような環境があることなどについてわかりやすく説明された。特に、火星は40億から 30億年前に広大な海があり、地球と似た環境にあったことから、近い将来バクテリアなどの生命の痕跡を発見できるのではないかという点では、興味を抱く話 であった。続いて、地球の生命史の話題となり、地球の生命は原生生物、真核単細胞生物、多細胞生物そして知能をもった人類の誕生と段階を経て変遷してきた ことを説明された。地球の生物がどのように誕生し、進化してきたのかについての認識を深めることができた。最後に、今後の宇宙生命探査の手法の話になっ た。太陽系内では、探査機を送ることとして、遠く離れた星に存在するとされる生命を探すにはどのような手法を用いればよいのか。それは、星に地球と似た生 命が存在すれば、酸素が観測されるはずであり、その痕跡を大型の望遠鏡をつくって研究していくことが今後主流になっていくことであろうとのことであった。 生徒達が大人となった時に、その発見の一報がなされる日がくるかもしれないという夢と希望の持てる話として講演は締められた。

第2部の対話では、海部先生が宇宙の研究をするきっかけは何であったかということを皮切りに、杉山先生とテンポよい話が繰り広げられた。海部先生は、小 さい頃から天文には興味があったが、大学では物理を専門に勉強されたそうである。天文学を専門とする前に、基礎的な内容をしっかりと学んでおく大切さは、 多くの生徒達に伝わる話であった。
質疑応答の時間では、生徒の手も次々と挙がって、それについて海部先生は質問にも丁寧にお答えいただき、充実した時間となった。