SSH事業について

平成27年度 英国海外研修

平成28年3月4日から3月9日までの6日間、生徒5名が参加し、理科教諭(SSH担当)および英語科教諭の2名が引率しました。

日 付 行      程
3/4(金) 中部国際空港-(東京国際空港(羽田))-ヒースロー国際空港
-ブランドフォード【泊】
3/5(土) ブランドフォード-ブライアンストン校(学校見学・研修)-ブランドフォード【泊】
3/6(日) ブランドフォード-ブライアンストン校(研修)-ブランドフォード【泊】
3/7(月) ブランドフォード-ブライアンストン校(研修)-ロンドン【泊】
3/8(火) ロンドン-ロンドン市内(研修)-ヒースロー国際空港-【機内泊】
3/9(水) -(東京国際空港(羽田))-中部国際空港

理数教育では将来、研究開発の分野で世界へ進出する若者の育成が望まれています。本校でも、国際社会においてグローバルな視点を持ち、かつ能動的に活動できる人材の育成をしていかなければなりません。本校ではSSHの指定を受けた平成25年度から海外研修を実施しております。先進的な実験設備が整い、課題発見型の学習が長年行われている英国のブライアンストン校で自然科学分野での交流を行うことで、先進的な自然科学の内容に触れるとともに、英国の生徒と交流することでコミュニケーション能力やプレゼンテーション能力を高めること狙いとしています。また、国境や時代を超えた幅広い科学的な見方や考え方を身につけた、自然科学系人材を育てることを目的として、自然科学関連の博物館の見学を行っています。

ブライアンストン校との交流

訪問に向けて,自然科学の内容に関する英語の語彙を習得させるため、自然科学に関する文献を生徒らに読ませる勉強会の時間を今年度も設けました。今年度は本校からもワークショップという形式で内容を提示することにもなったため、英語によるプレゼンテーション能力も身につけさせる活動を行いました。

今年度の実験は物理班と化学班に分かれることになりました。本年度は訪問校からの依頼を受け、本校でも実験テーマを提示して行うように当初は計画をしました。本校は「納豆からの高純度のγ-PGAの抽出とそれを用いた凝集実験」をテーマとして訪問校に提示しましたが、本校の提示した実験は訪問校に準備が煩雑であり、実施が困難であるということで、本校の提示テーマは、研究発表として実演を交えたプレゼンテーションを行うこと形になりました。

共同実験の様子

物理班は、自動車の車体の形状と空気力学を組み合わせた実験研究を、化学班は学校の敷地内のさまざまな場所から水を採取し、硬度を中心とした水質について調査する実験を行うことになりました。まず、訪問校の物理、化学の教員が概要を説明した後、共同実験に入りました。共同実験では、ブライアンストン校の生徒が適切にリードしてくれ、測定の方法やサンプルの採取などを丁寧に説明して、円滑に活動を進めることができました。最後に、両班ともプレゼンテーションを通して実験結果の報告を行いました。物理班はパワーポイントを用いて、化学班はポスターを用いての発表でした。どちらの班も、訪問校と本校の生徒が半々くらいの役割となり、分担して発表が行われました。本校の生徒は、実験の内容を理解し、英語を用いて発表することができました。

特別プレゼンテーション

共同実験の発表の最後に、本校が取り組んだ研究内容を発表する時間を設けてもらいました。そこでは、前述したように、納豆から抽出した物質の水質浄化作用の内容を3人の生徒が英語で発表しました。これは、夏の全国SSH生徒成果発表会で発表されたものであり、20分と長めの発表となりました。時間の制約もあり、その後の質疑応答の時間が設けられませんでしたが、訪問校の生徒も興味深く聞き入っていた様子でありました。異国の地で英語による発表を行ったことから、参加した生徒も大きな自信をつけることができたと感じています。

英国自然史博物館、科学博物館

自然史博物館は、海洋生物と哺乳類、地球科学、昆虫・鳥類・恐竜、現代科学技術の各ゾーンにわかれており、さまざまな展示物が陳列されています。科学博物館は、産業革命といった技術と産業や社会のテーマでもって展示されており、ワットの蒸気機関の実物が動態保存されています。自然の雄大さや科学技術の英知などを知ることができ、自然科学に対する興味関心をさらに深める経験となりました。

研修後に生徒に所感の一部を紹介します。

「実験をして、その内容を限られた時間でまとめるということが、訪問校の生徒たちは上手だった。私も見習いたい。」
「普段自分が勉強している英語が、いざ話そうとすると詰まってしまうことがあった。これは、普段の英語が身になっておらず、活用のための勉強が大切だと感じた。」
「OKばかり言っていると話についていけなくなってします。今回の研修では、理科的な用語を話す機会が多かったので、分からないなりにも、自分の意見を言えるようにすればよかった。」
「人に対する接し方が最も勉強になった。訪問校の生徒は些細なことでも『これはどう思う?』、『どうしたい?』と毎回聞いてくれ、私がゆっくりしか話せないのを根気よく待ってくれた。人の意見に耳を傾けるというのは当たり前のことのように思えるが、それを徹底するのはすごいことだと思った。」

生徒の所感を振り返ると、まず課題探究的な活動に対して慣れている訪問校の生徒を目の当たりして、よい刺激が得られたことが挙げられます。また、コミュニケーションとは、単に他言語の能力を身に付けていることでなく、相手の立場にたって聞く姿勢を持てるかどうかということに気づくことができたことも挙げられます。英国研修を通じ、コミュニケーションのあり方についても意識して向上をはかることのできる研修であったと思います。