学校案内

南吉と活躍する卒業生

(このページに登場する人物はすべて敬称略とします)

知多を舞台に心を描く 童話作家 新美南吉

新美 南吉

提供:新美南吉記念館

新美南吉(正八、1913~1943)は、旧制半田中学校の8回生です。知多郡半田町(現半田市)岩滑(やなべ)に生まれました。半田中学校を卒業後、半田第二尋常小学校(現岩滑小学校)の代用教員となり、この時期に代表作「ごんぎつね」を創作しています。東京外国語学校(現東京外国語大学)卒業後は、安城高等女学校(現安城高等学校)などに勤めましたが、喉頭結核のため30年に満たない短い生涯を終えました。中学校在学中から創作活動を始め、知多半島の里山や自然を舞台に、哀しみの中にも心の通い合いや美しい生き方といった普遍的なテーマの物語を世に送りました。

新美南吉についての動画です。

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二人の経団連会長 平岩外四・榊原定征

平岩外四・第7代経団連会長(1914~2007、会長在任1990~1994)は、旧制半田中学校の9回生です。東京帝国大学(現東京大学)法学部を卒業後、東京電灯(現東京電力)に入社しました。社長、会長を歴任し、民間人としては最高の栄誉桐花大綬章を受章しています。

平岩外四

提供:東京電力ホールディングス

氏は明治の教育をいち早く進めた鈴渓義塾のあった常滑市で育ちました。半田中学については、「1年間だけ寄宿舎に入り、それからみんな自転車で通ったものです。卒業まで自転車で通いました。とにかく半田中学というのは非常にのんびりして、いい学校だったと思います。」(『対話と交流』)と述懐しています。居林次雄(半高1回生)によれば、「平岩さんが戦争中、ニュウギニヤ戦線で、生死の境を潜り抜けて復員されたのは、その意志の強さと頑健さに負うところが多かったと思われるが、半田中学への往復は常滑から半田まで、毎日自転車通学をされたことに負うところも大きかったと思われる」(『柊陵』第51号)とのことです。財界の先頭に立って進む姿は、青雲の志を抱き東京で奮闘努力する後輩たちを導く光でもありました。

榊原定征

東京柊会(同窓会)にて

榊原定征・第13代経団連会長(1943~、会長在任2014~2018)は、半田高等学校の12回生です。名古屋大学工学部を卒業後、東洋レーヨン(現東レ)に入社しました。社長、会長を歴任し、大いにリーダーシップを発揮して政府の経済財政諮問会議や未来投資会議の民間議員や日本化学会の会長なども務めています。

氏は美浜町奥田の豊かな自然の中に育ちました。本校SSH事業に寄せていただいたメッセージには、半田高校で科学に目覚めたときの感動とともに、美しい知多への思いがあふれています。

「SSH生徒成果発表会」生徒へのメッセージ

半田高校2年生の時に、私の人生を決める大きなきっかけがありました。図書館で「科学」という雑誌を流し読みしていると、ひとつの記事が目にとまったのです。
「夢の新材料」炭素繊維-将来は飛行機の材料に。大阪工業試験所の研究者が、アルミより軽く鉄よりも強い、超強力の炭素繊維を発明した。将来はアルミ合金に代わって飛行機の機体材料になるかもしれない。この発明は、世界に先駆けて日本の研究者が独自に開発した独創的かつ画期的な発明。」といった記事であったように記憶しています。当時はまだ戦後の経済復興の途上でしたが、敗戦国日本の一研究者の発明が世界をリードする画期的な成果をもたらすとの記事に、血湧き肉踊る感動を覚えるとともに、自分も将来、研究者、技術者になってこのような大きな仕事をしたいという「夢」を描くようになりました。

私はこの夢を実現すべく、名古屋大学で応用化学を専攻しました。就職も炭素繊維の研究を進めていた東レを志望し、入社5年目には炭素繊維の研究開発グループに配属されました。そして社長就任後、最新鋭のボーイング787型機の生産が決まり、2006年にアメリカのボーイング社と炭素繊維の長期供給契約を結びました。名実ともに炭素繊維で作られた飛行機が誕生した瞬間でした。40数年を経て、高校時代からの夢が叶い、感無量でした。

この経験から、半田高校の後輩である皆さん、特に素晴らしい知多半島の自然の中で育った皆さんに申し上げたいことは、まず美しいこと、不思議なことに素直に驚き感動する心、好奇心を大切にして欲しいということです。いろいろなことに好奇心を持ち、自分の目で見てみると、驚いたり感動したりと心が揺れ動きます。それが次の行動につながります。研究や技術開発ではその行動が発明や発見につながります。自らの好奇心を大切にして、自分なりの夢を描き、その夢を実現する意志を持ち続けて、それにチャレンジして下さい。きっと様々な場面で自分の未来を切り拓いていく時に、有形無形の財産として活きると思います。SSHでさらに力を付けた半田高校の後輩が、世界を舞台に大活躍していくのを私は心から楽しみにしています。

榊原定征